悲しかった。


悔しかった。


「…あっ」


気が付くと目尻にうっすら涙が浮かんでいて、腕で涙を拭くとすぐに無くなった。


だけど、矢吹くんから向けられた言葉の感情に対する思いは全く収まる事はなかった。



矢吹くんはお父さんに愛情を向けられたことが無く、それ以前に虐待などで愛情を向けらておらず、更に矢吹くんに対してはおまけという存在で扱われていたせいか、矢吹くん本人はお母さんや光壱さんだけにしか興味が持てなくて、その他のお父さんや妹さんに対して全く興味を持つ事が出来ずどうでもいいという感情に陥ってしまっているんだ。


だから、他人に自分の事情を話そうが何しようが、感情や心に自我がないから私の言った言葉に理解を向けてくれなかったんだ。


矢吹くんの心は何もなくて空っぽで欠けているんだ。


自分の心に対して、辛いとか悲しいとか悔しいとか寂しいという感情がないんだ。


そう思うとまた悲しく涙が込み上げてくる。


「うっなんで…なんでなの」



私は…興味持ちたいって仲良くなりたいって思ったのに。


どうしたら興味持ってくれるのだろうか…?