「あ、くるなちゃんおかえり」


「あ、ことは」


家に帰ると体がうずうずしたので、近くの庭園公園を一走りした帰りにくるなちゃんを見つけた。


「また走ってたの?」


「うん」


「大丈夫なの?」


「大丈夫だよ。5分ぐらいだし軽くだから」


「そっか」


この人が私のお姉ちゃん、くるなちゃんである。


月野 くるな、私より2つ上で同じ高校の高校3年生。


私より髪が長くて綺麗でおしとやかでおしゃれで誰に対しても優しくてとても人気のある、私の自慢のお姉ちゃん。


欠点があるとしたら、天然でよく忘れ物する所。


そこもまた、可愛かったりする。


いわゆる私はシスコンというものでもある。


でも、ひとつだけどうしても言えない事がある。


それは゛お姉ちゃん゛と呼べないことだ。


昔は呼んでいたのが、今では全くできないのである。


その理由は、ある事がきっかけで呼べなくなってしまったのだった。


私が激しい運動や長運動が出来にくいのも、その事と繋がっていたりもする。



「くるなちゃんは今年もおばあちゃん家行かないの?」


「うーん、そうだね。勉強しなきゃいけないからね」


「そうだよね〜、受験生だもんね」


「まあ、推薦なんだけどね」


「そっか。うん、1人で行ってくるよ」


「うん、ごめんね」


くるなちゃんは何かと忙しいし、無理に誘うのは良くないだろう。



そして、いつの間にか夏休みに入り7月が過ぎて8月私は1人田舎のおばあちゃん家へと向かったのだった。