「ほれ、もうそろそろ寝た方がええ」


「そうですね、もう少ししたら戻ります」


「そうか、ではおやすみ」


「はい」


と、なぜかちらっと私がいる場所へ目を向けたように感じた。


「!」


(やばい、私も戻んなきゃ)


私はそっと足音をいっさい鳴らさず静かな動作で、そこから動き2階へと戻った。


だけど、ベットに入っても矢吹くんが言っていた内容が頭にこびり付いてて眠る事は出来なかった。


そして、そのまま寝る事なく朝を迎えてしまった。



「ふわあ……」


結局、一睡もできずに朝を迎えてしまった。


「おはよう、ことはちゃん」


「おはよう、おばあちゃん」


「随分寝むそうね、昨日寝れなかった?」


「うーん」


ダイニングのテーブルに着くと、前の席に矢吹くんが朝食を取っていた。


「!」


「おはよう、ことはちゃん」


矢吹くんはにこっと相変わらずお花のようなかわらしい笑顔を向けて挨拶をしてくれる。


「お、おはよう」


私はいうと少しぎこちなく戸惑いを持ちつつ挨拶を返した。


「……」


私だけが気にしてて矢吹くんはいつも通りだから、むしろ気にしる方が悪い気がする。


でも、昨日の事を矢吹くんに聞きたいけど聞けない。


(絶対に聞けないもん)


聞いたとしても、他人の問題に水を指すような事も言えない。


それ以前にそんな資格もないから。



「う—ん」


「ことはちゃん。どうかしたの?」


「えっいや、なんでも」


「ふーん」


むしろ悩んでる仕草のほうが不自然だった。