「他のは買わなくて良かったんだね」


コンビニを出て気になっていたので、なんとなく聞いてみた。


「ああ、うん、特にはね。ことはもよかったの?」


「まあ、別に」


私もこれと言って欲しいものはなかった。


「じゃあ、帰ろうか」


「そうだね」



茜色の夕焼けが降り注ぐ中、「明日も晴れだな」と思いながら柚里夏ちゃんと一緒に道筋を歩きながら柚里夏ちゃんの家へと向った。


「あ、そういえばさ」


私は不意に思い出したかのように声を出す。


「?」


「昨日ね、新しい子が家に来たの」


「は?」


言い方が悪かったのだろうかよく分からない顔をしてる。


「なんかね、うちのおじいちゃんのお知り合いのお孫さんなんだって」


「ああ」


今の言い方はよくわかったのか、軽く納得してくれる。


「なんか、事情があっておばあちゃんの家で暮らす事になったらしい」


「へー事情って何?」


「さあ、そこまで知らない」


そういや、なんの事情があってここに来たのかは聞いてない。


でも、そういうのは無闇に聞くものではない気がする。


「でもね、その子ねすっごい驚きがあってね、色々びっくりしちゃったの♪」


私は少しテンションをあげた声で柚里夏ちゃんに突っかかる。


「驚き?」


「うん!」


私は元気よく首を立てに振る。


「すっごく可愛くてね! すっごく手先が器用なの。
発明や物づくりが好きなんだって!」


「へー」


柚里夏ちゃんはあまり興味なさそうな声で頷く。


「それって女の子?」


「ううん、男の子だよ。身長は男の子にしては小さい感じでね、笑うとすっごく可愛いの!もう、女の子以上だよ、あれは」


「それは、すごいね。女子でもブサイクな結構いるからね。そういう子は羨ましいだろうな」


「ゆ、柚里夏ちゃん…そういうの言わない方がいいと思うよ」


柚里夏ちゃんは見た目は乙女ぽく可愛らしい感じなのだが、口があまりよろしくなく、良い言い方としては毒舌な子である。


性格は悪くないのだけど…。


「別にそんな事しないよ」


私の前や心の中では言うけど、本人の前では言ったりしないので安心なのかもしれない。