3時半頃、柚里夏ちゃんが買い物に行こうということで外へと出た。


「……はあ、暑い外嫌…」


自分が言い出したのに、既にぼやいてる。


(まったく…)



「そのワンピース、新しいの?」


「?」


不意に目に入った柚里夏ちゃんの着ているワンピース。


柔らかな白にリボンがあちこち施されていて胸元にはレースが付いている、柚里夏ちゃんが好みそうなガーリーなワンピースだ。


基本的に柚里夏ちゃんは外へ行く際は、どういう訳かワンピースしか着ない子で、以前理由聞いてみたら「楽だから」と極単純な答えが返ってきた。


「そう! かわいいでしょ! 新作なの♪」


とひらりとくるっと回る。


今さっきぼやいていた表情とはあからさまに違う。


「でもなー、たまにしか買えないのが億劫」


「かわいいけど値段つくもの多いもんね」


「そうなの!
だから、バイトしようと思って…でも接客は嫌から」


「柚里夏ちゃん、人見知り激しいもんね」


「うん、なんかないかな〜。
それと学校の子に気づかれないの」


「それは難しいね」


「ねー」


(アルバイトか…)


やっている高校生とか結構多いけど、うちの学校でもやっている子はやってるけど、うちの学校…実は校則で禁止になっているから難しいと思う。


なんらかの事情が無い限り禁止なんだけど。


「ことはは何かやんないの?」


「うち禁止だしな〜」


「おお、さすが都会の学校!校則も厳しいのね」


「単にそういう学校だからだと思うけど」


(短期間なら行けるかな?)



「お店の方にある町に行くの?」


ここは見る限り何もない所だけど、電車を乗ればお店がたくさん並んでいる場所がある。


「今からそんな所行かないよ、時間かかっちゃうもん」


「まあ、そうだね」


「じゃあ、どこに行くの?」


この辺で食べ物以外でなにか買えると言えば、あそこぐらいしかないだろう。


「もしかして、コンビニ行くの?」


「うん」


(やっぱし)


コンビニと言っても、やはり歩かないと着かなくて、おおよそ15分ぐらい掛かってしまう。



15分歩いてようやくコンビニに着いたけど、やはり15分ていうのは遠い。


私の家でも近くても5分くらい所にあるぐらいだ。


でも、昔と比べたら良くなった方に違いない。


(昔はコンビニなんかもなかったしね…)



「あった、これだ」


コンビニに入り柚里夏ちゃんは一目散にその場所へと向かう。


「何?」


「んー文房具だよ。なんか切れちゃってて」


「ふーん」


そう言うと、すぐに柚里夏ちゃんはレジの方へと向かい支払いを済ます。


他の物には一切目もくれず。