「………」


「あ、あのね…そんな邪険に扱わないであげて。
ことははいい子なんだよ」


くるなちゃんはつかさずフォローしてくれるが、そんなのなんの意味もない。


「えー? だってあの子…何にもできない子じゃん」


「確かに」


雫玲先輩の友達は言いたい放題でクスクスと笑っている。


わかっていることで言われ慣れていることで、今更というか最初から私はあの人達に反応したところでどうしようもないから。


だって私は何もできないから、くるなちゃんがいないと。


私はその場に座り込んでしまいそのまま動けずにいた。


(つらいな、嫌だな、何もかも)



くるなちゃんは確かに助けてくれる。


でも、実際は見えている部分しか助けてくれないから、中までは助けてくれないから。


というか、気づいていないから。


別に気付いてほしくない。


私はくるなちゃんに傷ついてほしくない。


私がこんなにも醜くて哀れでダメでどうしようもない人間だってことを。


その発端がくるなちゃんだって事に。


だから、気付いてほしくない。


なんなら誰にも気付いてほしくない。


これ以上誰にも入ってほしくないから。


怖いままでいいから、苦しいままでいいから、辛いままでいいから、私は臆病のままでいたい。



「いた、ここにいたんだ」


「えっ」


顔を上げて声の方へと振り向くと、先程聞こえた矢吹くんの声と存在がそこにあった。


「やあ、ちょっと久しぶりかな」


「矢吹くん…」


「君はそういう扱いをされているんだね」


「なんで…?」


どうして矢吹くんは私の前に現れてくれるんだろう。