「では、紹介します。今日からこの家に住むことになった、萩原 矢吹くんです。みんな仲良くしてあげてな」


おじいちゃんは転校生を紹介する担任の先生のような言い方で彼をみんなに紹介した。


「よろくね〜かっわいい顔してんね〜、本当に男？」


「う、うん」


「ふーん」


最初にお姉ちゃんが彼に声を掛け、興味津々そうにじっと見つめる。


「あの、何か…」


「いや、あんまりにも綺麗な顔してるから、どうなってんのかと」


「そ、そうですか」


「羨ましい…」


お姉ちゃんの口から少しだけ嫉妬が入っていた。


（確かに、萩原くんってすごく綺麗だよね。
私もぶつかった時、彼の顔を見てすごいびっくりしちゃったし）


「僕はかなるだよ。かなるお兄ちゃんでもかな兄とでも呼んでくれてもいいよ！」


「あ、はい…」


続けてお兄ちゃんも挨拶するけど、お兄ちゃんは嬉しそうにニコニコと言う。


（お兄ちゃん…）


そして、みんながそれぞれ挨拶をしていく。


「私は月野ことは。この家には住んでないんだけど、今は夏休みだから遊びに来てるんだ。よろしくね♪」


私はいつも通り元気よく、手を出して挨拶をする。


すると、萩原くんは同じように手を出し私と握手をする。


「うん、よろしくね」



こうして、萩原矢吹くんがおばあちゃんの家にやってきたのだった。



どういう経緯で彼がこの家にお世話になる事になったのかわからないが、とにかく嬉しい事だ。