冬央ちゃんと一緒に体育館前で待ってくれている中津くんの所に向かうと、なぜか中津くん以外の話し声が聞こえてきた。
「ふぇっ!?」
話している相手を一目見た瞬間、冬央ちゃんは驚きのような奇妙な声を出した。
「なっ…なんで?」
そのまま震えた声でその人を見つめている。
(あ、あの人…)
冬央ちゃんの目線に向けると、保健室で会った先程の親切な人が、中津くんと話していた。
そういえば、試合始まる前も話していたから、仲いいのだろう。
「あ、やっと来た〜。待ちくたびれたよー」
私達の姿に気づいた中津くんは、少しとぼけた声で言ってきた。
「ご、ごめんね」
「やあ、どうも」
「………」
先輩は私の登場に驚く事なく、普通に挨拶を向けてくる。
「どうして、先輩がここに!?」
冬央ちゃんは相変わらず驚きが隠せない表情をしている。
「やあ、試合良かったよ」
「えっ!?」
先輩が冬央ちゃんに話しかけら、更に驚きを向けている。
「えっと……」
「藤崎です! 藤崎 冬央〈とうざき ゆお〉です」
冬央ちゃんはキラキラした瞳ではっきりと自分の名前を伝えた。
「あー藤崎さんか。
女バスとあんまり親交ないもんな」
「そうなんですよねー」
冬央ちゃんが恋する女の子みたいな態度を出している。
「なんじゃその喋り方は…」
別に癪に障るような高い声ではないと思うが、中津くんからすれば冬央ちゃんのいつもと違う態度に違和感を持ったのだろう。
「うるさいな…」
確かにこういう冬央ちゃんは珍しいけど、なんか新鮮でかわいかったりするかも。
「そういえば、言いそびれてたけど、君もすごかったね」
「えっ」
先輩は私に対しても褒めてきた。
「そ、そうですか?」
保健室の時は身体の心配しかされなかったけど、バスケの動きもちゃんと見てくれていたんだ。
「うーん、でも…あの動きは逆に消耗させるから止めた方がいいよ」
「……」
保健室の時も注意されるように言われた。
そんなにまずい動きだったんだ。
良くない事ぐらいは、自分でも理解してた。
でも、体を休める事は自分ではできなかった。
「やっぱり体調悪かったんだ…」
「あ……」
冬央ちゃんは先輩の言葉にぷくっと頬を膨らませていた。
なぜか、少しだけ怒っているようにも見えた。
「冬央ちゃん…怒ってる?」
「別に…」
やっぱり、怒っているんだ。
あたり前か。
私、いつも平気じゃないのに平気だって嘘付いているから。
「はあ…もう」
やはり怒っているのか、苛立ちのある溜息を漏らされ、私は思わず申し訳なさそうに「ごめんなさい」と謝った。
すると、冬央ちゃんは今度は浅い溜息を漏らした。
「別にいいよ。その代わりにもう無茶しないでね」
冬央ちゃんは少し口を含ませて、私を睨むように見る。
それは怒っているよりは、本気で心配している睨みだった。
「ふぇっ!?」
話している相手を一目見た瞬間、冬央ちゃんは驚きのような奇妙な声を出した。
「なっ…なんで?」
そのまま震えた声でその人を見つめている。
(あ、あの人…)
冬央ちゃんの目線に向けると、保健室で会った先程の親切な人が、中津くんと話していた。
そういえば、試合始まる前も話していたから、仲いいのだろう。
「あ、やっと来た〜。待ちくたびれたよー」
私達の姿に気づいた中津くんは、少しとぼけた声で言ってきた。
「ご、ごめんね」
「やあ、どうも」
「………」
先輩は私の登場に驚く事なく、普通に挨拶を向けてくる。
「どうして、先輩がここに!?」
冬央ちゃんは相変わらず驚きが隠せない表情をしている。
「やあ、試合良かったよ」
「えっ!?」
先輩が冬央ちゃんに話しかけら、更に驚きを向けている。
「えっと……」
「藤崎です! 藤崎 冬央〈とうざき ゆお〉です」
冬央ちゃんはキラキラした瞳ではっきりと自分の名前を伝えた。
「あー藤崎さんか。
女バスとあんまり親交ないもんな」
「そうなんですよねー」
冬央ちゃんが恋する女の子みたいな態度を出している。
「なんじゃその喋り方は…」
別に癪に障るような高い声ではないと思うが、中津くんからすれば冬央ちゃんのいつもと違う態度に違和感を持ったのだろう。
「うるさいな…」
確かにこういう冬央ちゃんは珍しいけど、なんか新鮮でかわいかったりするかも。
「そういえば、言いそびれてたけど、君もすごかったね」
「えっ」
先輩は私に対しても褒めてきた。
「そ、そうですか?」
保健室の時は身体の心配しかされなかったけど、バスケの動きもちゃんと見てくれていたんだ。
「うーん、でも…あの動きは逆に消耗させるから止めた方がいいよ」
「……」
保健室の時も注意されるように言われた。
そんなにまずい動きだったんだ。
良くない事ぐらいは、自分でも理解してた。
でも、体を休める事は自分ではできなかった。
「やっぱり体調悪かったんだ…」
「あ……」
冬央ちゃんは先輩の言葉にぷくっと頬を膨らませていた。
なぜか、少しだけ怒っているようにも見えた。
「冬央ちゃん…怒ってる?」
「別に…」
やっぱり、怒っているんだ。
あたり前か。
私、いつも平気じゃないのに平気だって嘘付いているから。
「はあ…もう」
やはり怒っているのか、苛立ちのある溜息を漏らされ、私は思わず申し訳なさそうに「ごめんなさい」と謝った。
すると、冬央ちゃんは今度は浅い溜息を漏らした。
「別にいいよ。その代わりにもう無茶しないでね」
冬央ちゃんは少し口を含ませて、私を睨むように見る。
それは怒っているよりは、本気で心配している睨みだった。