不思議な人だった。


それから先輩は帰っていって、私も冬央ちゃんの元に戻ろうと保健室を後にした。



「バレちゃった…」


初めて会った人に私の秘密を知られてしまった。


矢吹くんにだって身体の事は言ってないのに。


でも、少しだけで全部じゃないから、まだよかった気がする。


でも、時間の問題な気がするのは気のせいじゃない。


もし、全てを知られた時、私の精神は冷静を保てるのだろうか?


それがすごく心配だ。



「あーことはーやっと来たー」


トボトボと更衣室へと向かっていると、冬央ちゃんが駆け足で寄ってきた。


「冬央ちゃん」


「もう、どこ行ってたの! 心配したんだよ!
トイレから全然出てこないし!」


「ご、ごめん」


冬央ちゃんの事すっかり忘れていた。


「もう、どこ行ってたの?」


「ちょっと保健室に」


「えっ?」


保健室という言葉に驚いたのか、慌てるように問い詰めてくる。


「だ、大丈夫なの? やっぱり無理してたんじゃあ!」


「もう…大丈夫だから」


「そう…なら良いけど」


食い気味にくる冬央ちゃんに少し引き気味だったけど、冬央ちゃんは私を心配しての行動だと言える。


「ごめんね、心配かけて」


「別に、元気ならいいよ」


「…うん」


でも、倒れた事はやっぱり言えない。


倒れて保健室に運んでくれたなんて絶対に言えない。



「えっ中津くんも待ってくれてるの?」


「そう」


「そっかあ、なんか悪い事しちゃったなー」


「えーまあ、あいつはいいんじゃない?」


「………」


冬央ちゃんはなぜかいつも中津くんに対して冷たい気がする。


わざとなのか、嫌いなのか、単にそうと見せかけているだけなのか、よく分からない。


その後、着替えを終わらせ中津くんが待っている体育館へと向かった。