「今日は、保健室空いてるけど、保健医の先生いないんだよね。まあ、しばらくしたら落ち着いたから大丈夫だったけど、病院行った方がいいと思う。呼吸困難になってたからさ」


「ああ…大丈夫ですよ」


きっと先輩は私の異常な苦しみ方に本気で心配しているのだろう。


でも、誰が見ても私の症状は異常だと思われるはずだ。


「中学の時にもなって観てもらいましたけど、体調が悪いだけでしたので」


「体調悪い?…だから、あんな動きだったのか」


(動き?)


「ずっと気になってたんだよね、途中からすごい辛そうな動きをしてるって。あれじゃあ、すぐ疲れるなって思って」


「……」


気付かれてたんだ、私。


すごいな、この人は。


「分かるんですね、そういうの」


「うん、まあね、分かるよ。でもさ、体調悪いのなら、なんで出たの? すぐに落ち着いたからよかったけど、もし大変な事になってたらどうするの?」


「……っ」


先輩は私に近寄り真剣な眼差しで私に向ける。


「あ…あの」


あまりの近さに戸惑いが止まらなくて、でも彼は真剣に私を諭しているのだけど。


「す、すいません…でも…」


確かに彼の言うとおりだ。


でも…冬央ちゃんが。


「…断れなかったんだ?」


「…はい」


「そっかあ、君は優しい子なんだね」


(優しい?)


そんな事ない。


私が優しい訳じゃない。


ただ、自分にとって都合にいいだけの行動を取っているだけで、他人への優しさを向けている訳ではない。


そもそも、そんな余裕なんて持てないから。


持てるならもっと相手を見れるようになりたいけど、私の心にはそんな余裕は入り込めない。