「じゃあ帰ろうか、朝木さん」


「あ、はい!」


皆ありがとう!


花道を作って、手を、タッチを構えるように向けてくれるクラスメイト1人1人と自分の手を合わせて、ユイくんの後を追う。


ドアの前で待っていてくれたユイくんは、当たり前のように私に歩幅を合わせてくれて、


こんな完璧な人いますかね!?


今までもこれ以上ないくらい好きだったのに、どんどん最大容量が増えていく。


毎日好きが溢れてくる。


ユイくんユイくん、本当に私、ユイくんの彼女になれたんだよね?


なんだか信じられない。


ちょっと鼻の奥がツーンとしたのを、頭を振って誤魔化した。


それを見たユイくんに「犬みたい」って笑われてしまって、恥ずかしさで顔に熱が集まってしまう。


私は今、きっと世界で1番の幸せ者だ。




明日には、ユイくんに彼女が出来た事が全校生徒に広まって、ユイくんの人気のすごさを改めて思い知ることになるのを、今日の私はまだ知らない。