「シロ兄、あの子供たちは……」
「麓絽たちが何とかしてくれるよ。」
「ここにはどうやって……」
「俺がここに来るまでの活路をあいつらが作ってくれた。」
「じゃあ、シロ兄の代来てるんだ……。」
「俺の代だけじゃない。
クロのことをとても大事に想ってくれている人たちがいるだろう?
あの子たちも頑張ってくれたよ。」
もしかして……
淡い期待を胸に、その期待をはぐらかそうとする
「今思えば、たくさん助けてもらったなぁ。
麓絽や航はもちろんだけど、奏に会ってたのに気づかないなんて……。」
「記憶がなかったんだから仕方ない。
それに、あれは俺が指示してたから。」
「じゃあ、もしかしてシロ兄は……」
「ずっとクロの傍にいたよ。
例え離れていても、この手で触れられなくても、あいつらの瞳を通してずっと見てきた。
よく、1人で頑張った。」
頭を撫でてはにかむシロ兄
そのあったかさはずっと私が欲しかったもので
そして、それにあの人の面影を見た
やっぱり……似てるな
「1人じゃないよ。
みんながいてくれたから。
殺が支えてくれたから。
1人じゃとっくに立ち止まってた。」
後ろを振り返って研究所を見やる
小さい頃にいた籠とは違うけれど、ここから出られたのなら……
「行かなければならない場所があるんじゃないのか?」
「……シロ兄、お願い。」
「可愛い妹のためならどこへでも。」
会いに行っても、いいですか?