俺たち兄妹の過去を話し終わると、今代たちは動揺していた
「……じゃあ……クロと真白さんは……僕と同じなの……?」
そうか、この子はリストに載っていた犠牲者か
「君はNo.4か。
あの施設内で同年代の子に会うことはなかったが、成功した俺たち兄妹のサンプルを使って移植された子たちがいることは知っている。
君はクロのサンプルを使われたみたいだが……シンクロしてないようで良かった。」
「シンクロせな力は機能しないんすか?」
「だからこそ、俺たちが成功するまでにたくさんの子供たちを犠牲にしていた。
君は途中で抜け出せたから効果がなかったんだろう。」
そう言うと、凛くんは下唇を噛んで俯いた
友達を犠牲にしてしまったんだな……
「それで、大輝と紫苑がお嬢さんたちに何の関係があるんですか?」
この何年か調べてきて、その資料を見つけた時は驚いた
たくさんの子供たちを犠牲にする中で、ある法則性が発見された
「……その2人も、あの施設にいたんだ。
紫苑くんはNo.5として。
そして大輝くんは……No.4として。」
凜くんはバッと顔を上げて困惑していた
「だって……それ、僕と同じ番号……。」
「俺があの施設を壊した時、既に壊れてしまった子供たちは植物状態だった。
だが、まだ実験途中だった子供たちは、その反動で記憶を失った。
クロや……大輝くんたちのように。」
「凜に会った時にもう記憶は戻ったけどな。」
「……俺は、クロの赤い瞳を見た時。」
「え……じゃあ、うそだよね……?大輝は……、」
「ごめんな、凜。
ずっと苦しませた。
どうお前らに伝えようか迷ったが……凜が前を向いた時、言わない方がいいんじゃねぇかって思ったんだ。
もう俺のことで不安にさせたくねぇ。
だから、大輝としてお前らのそばにいることを選んだ。
ったく、手紙にも"お前のせいじゃねぇ"って書いたのによ。」
「……あら……た……、新……っ!!!
ごめん、ごめん……っ!!
俺があの時逃げなければ……新が身代わりになることなんてなかったのにっ!!」
「もういいって言ってんだろ?
新はあの時死んだ。
研究所が崩壊した時、俺と紫苑にはもう帰る場所がなかった。
そこでREDMOONに誘われた。
だから俺はもうREDMOONの藍羅大輝だ。
またお前に会えた時は運命だと思った。
だからこそ、俺は新になるより、大輝としてお前らと一緒にいることを選んだんだ。」
「もう……嘘だろ〜……っ、早く言えよバカ野郎っ!!」
「悪かった。悠、お前にも世話かけたな。」
「ハンッ、お前みてェなしぶといやつが死んでるはずねェもんな!!」
そう言った下っ端くんの瞳にうっすら涙が浮かんでいたのが見えた