次に目を覚ました時は、ベッドの中だった



隣にはすやすやと眠るクロがいて



それだけで安心した



起き上がろうとすると、身体中に痛みが生じてすぐに倒れ込んだ



それでも、ゆっくりと立ち上がって壁伝いに部屋を出て、明彦さんの所に行こうとした



本当にあれは検査だったのか



この痛みは治るのか



クロが泣かないだろうか



聞きたいことはたくさんあって、俺がしっかりしなきゃいけないと思った



明彦さんの部屋の前まできた時、扉の隙間から話し声が聞こえた





「あの実験は成功でしたね。
今までたくさんの子供たちを使ってきましたが、兄妹に視点を置くとはさすが明彦さんです。」



「危なかったがな。
だが、兄妹だけがポイントじゃない。
あの兄妹の間にある絶対的な何か……絆というべきか、それがあったからこそあの子たちは壊れずに耐えた。」



「あの実験体たちはうまく蝶になれるでしょうか。」





蝶……?





「それはあの子たちの中に宿った力がうまくシンクロしてくれるかに問題があるが、今まで力を植え付けられた子供はいない。
力自身もあの子たちを選んだのかもしれないな。
要観察だ。」





分からない単語も多かったが、それでも分からないほどばかじゃなかった



いっそバカだったら、何も気づかずに過ごせたかもしれない



こいつらは……俺たちを実験に使ったんだ……っ



俺たちの中に訳もわからないものを植え込んで……っ



それが……クロの中にもある……っ



それだけで腹が立った



内側から何かが沸々と湧き上がってきて、身体中が熱を帯び始めた





「あ……ぁ……っ、」



「No.……1……?」





出てきたやつを睨む





「ふざけるな……っ、」





今まで俺たちに笑いかけてたのも



楽しかったあの時間も



全て……嘘だったのか……っ






「クロが……どんな思いでお前に接していたと思ってる……。
俺たちはお前を信じてたのにっ!!
お前は……お前はっ!!」





俺のことはどうだっていい



でも、クロにしたことだけは許さない









「壊してやる……全てっ!!何もかもっ!!」