次の日、俺はBlue skyの幹部室にいた





「わざわざ1人で敵陣に乗り込んできて何の用だよ。」



「ここにREDMOON宛に贈り物があると聞いた。」





そう言うと、幹部は神妙な顔をした





「お前にクロを探す権利なんてねーだろうが。」



「……そうだな。」





如月の言う通りだ



好きな女1人さえ守れない



あの小さな背中に全てを背負わせてしまった俺なんかに、あいつの背中を追いかける資格なんかない



そんなのはあの日から今日までずっと後悔し続けてきた





「だが、俺にはあいつが必要なんだ。

あいつがいたからREDMOONは変わった。

例えあいつが俺たちを騙して、自分の意思でREDMOONを抜けたとしても、それでも俺は追いかける。

REDMOONの長を降りてでも、今度こそ好きな女守りてぇんだよ……。」





あいつらなら、俺がいなくてもREDMOONをまとめてくれる



無責任だと罵られるかもしれない



ふざけんなとぶん殴られるかもしれない



それでも、こんな気持ちは初めてなんだ



誰かを愛することも、いなくなって寂しくなることも



全部あいつが俺にくれた



俺はこの気持ちを失いたくはない





「……まぁ、あん時のなよっちいお前じゃなくなったってことか。」



「あ?」



「クロがいなくなって暴走してたクソ野郎が。」





いつもはそこで喧嘩になるが、如月の安心したような顔を見て何も言えなくなった





「……悪かったな。」



「別に敵の心配なんざしてねえっつーの!
それに、俺らも悪かったからな……。」



「どういうことだ?」





如月が言った一言で、全てが繋がった





「クロは、俺らの仲間なんかじゃねーんだよ。」



「あの日の前日、姫さんがここにきて僕たちに頭を下げたんだよ。
"REDMOONを裏切る手伝いをしてほしい"って。」



「クロは言った。


『すごく幸せだった。
REDMOONを守れるのなら、私はみんなの記憶から消えたっていい』ってな。


クロは、お前らを信じていたからこそ裏切るような真似をした。
俺たちはクロの覚悟が伝わったから手伝った。」





じゃああいつは、俺たちを守るために離れたって言うのか……?



どこから?



誰から俺たちを守ろうとした?



ならあいつは今、そいつらのところに……?





「お前が今やるべき事はここで考えることじゃねーだろ。
何のために俺たちのところまできた。
あいつを助けると決めたからだろ。」



「あぁ。
お前らを疑って悪かったな。」



「んなのいつものことだろーが。」



「姫さんが僕に渡していたやつだよ。
中身は見てないから大丈夫。
『もしもREDMOONの誰かがここに来ることがあったら渡してほしい』って。」





昴から渡されたのは1冊の本





「ありがとな。」