(大輝side)
あれから1ヶ月が経った
あいつは本当に痕跡すら残さなかった
学校も辞めていた
住んでいた場所もなくなっていた
あいつがいなくなって変わったことがある
1日が長く感じるようになった
倉庫内が静かになった
どいつもあまり笑わなくなった
俺たちの口からあいつの名前が出ることがなくなった
毎日がつまらなくなった
凜と慧が喧嘩をすることも、騒ぐこともなくなった
紫苑が誰かの温もりを感じながら寝ることがなくなった
翔はパソコンを手放さなくなった
そして俺は……夜に倉庫にいることがなくなった
色んなところをただひたすら歩いて、すれ違う人の顔を目で追いかける
『……さよなら。』
その声が今も頭の中で響いてくる
忘れられたらどれだけ楽だったか
でも俺は、今でも無様に探し続けている
忘れようとしても、身体が勝手に動く
俺の中はもうお前しかいないのに
「お前、REDMOONの藍羅だろ?
前からぶっ潰したかったんだよな!!」
気づくと路地裏でチンピラに囲まれていた
「……うるせぇ。」
用があんのはてめぇらじゃねぇんだよ
俺はただがむしゃらにそいつらをボコボコにした