ごめんなさい



ごめんなさい



握っている手に力を込める



爪が手のひらにギリギリとくい込んで血が出てる感じがした



でも、こんなの全然痛くない



みんなの痛みに比べれば、こんなもの





「お嬢さん……。」





私は、翔に向けて困ったように笑った



いつも翔が私にする時みたいに



今も私の意図に気づいてくれていて何も言わないでいてくれる翔に





「そういう訳で、私はもうみんなの仲間じゃない。
だからもう近づかないで。
私はあなたたちの敵だから。
あなたたちの甘ったらしい空間にいたら私まで腐っちゃいそうだから。」





そう吐き捨てて背を向ける



拓斗と瞳が合った時、泣きそうになってしまった



それでも歯を食いしばる



さぁ、これで終わりだ



私はもうREDMOONの姫じゃない



みんなの知ってるクロじゃない



だから……









「クロ。」









なんでこんな時まで……



そんな声で私を呼ぶの……っ



あなたはいつもそうだった



他人の気持ちは分からないって言ってたくせに、私の小さな変化には気づいてくれる



欲しい言葉をかけてくれる



あなたのせいで、私はこんなにも……弱くなってしまった



あなたの声や仕草、その視線に釘づけにされてしまう



あなたに囚われてしまう










「……さよなら。」









私はその声に答えることなく、この日、REDMOONを抜けた