「ね、ねぇ……冗談はやめようよ……。」
凜、本当にごめんね
あなたにそんな顔して欲しかったわけじゃない
「嘘やろ……なんで……。」
2人の言葉に胸が締め付けられる
でも、その痛みはきっと幻だ
雪のように溶けて消えてゆくはず
だって私は、いつかこの日が来るのを分かっていたから
「ごめんね、みんな。
……私が、REDMOONの裏切り者だよ。」
慧の時は向こうにいたのに、今度は言う側に回るなんてなぁ
あの時の慧の気持ちがすごく分かる
……やっぱり、辛いね
慧の表情が歪んでいくの見えた
凜が泣き出しそうなのが見えた
紫苑が唇を噛んでるのが見えた
翔は全て分かってくれているように見えた
大輝が……ただ私を見つめているのが分かった
でも私はみんなと瞳を合わせない
今にもここから逃げたい気持ちでいっぱいで
それでも私はゆっくりと口を開く
「私、Blue skyの幹部なの。
涼が入院してた時に代わりに入った。
みんなと初めて会った時から、私はずっとみんなを騙してきた。
楽しかったよ。
みんなが私を信頼してくれるのを嘲笑うのは。
滑稽だったよ。
敵に過去を打ち明けてバカみたいって思ってた。
ちょっと刺激が欲しくて情報漏らしてみれば、あっさりやられちゃうし。
私のこと誰も疑おうとしないで本当にバカみたい。」
嘲笑って吐き捨てる
大丈夫
だって嘘をつくのは得意だから
絶対バレるわけない
「なんでや……っ!!
クロはそんなやつちゃうやろ!!」
「だから、それがいけないんだって。
そうやってみんなはず〜っと騙されてたんだってまだ分からないの?」
ごめんなさい
「クロちゃん……だって、僕のこと助けてくれたじゃん……」
「そんなの、恩を売っておけばいつか使えるかもしれないって思ったからだよ。」
ごめんなさい
「……俺のこと、嫌いだった……?」
「最初から好きだなんて思ったこと1度もなかったよ。
仲間だと思ったこともね。
だからあの暴走の日は、反吐が出るほどめんどくさかったなぁ。」