初めて来た時と同じようにREDMOONの倉庫を見上げる
あの時は意外に綺麗だなぁって関心した
今は……もう見ることはないんだなって
外で中のみんなの笑い声を聞くことはもうないんだなって
何ともやりようのない気持ちが胸にこみ上げる
「寝不足なのか?クマ出来てるぞ?」
拓斗の心配そうな声に苦笑いする
「んー……ちょっと徹夜して。」
「まぁ今日が運命の分かれ道だからな。
あんまり無理すんなよ。」
「うん、ありがとう。」
私の前には拓斗を筆頭にBlue skyの背中
ごめん、Blue skyのみんな
ごめん、REDMOONのみんな
こんなにたくさんの人を巻き込むことでしか終われない
私は最後の最後まで……誰かに迷惑をかけている
拓斗たちが入ると、倉庫内に動揺が広がるのが分かった
下っ端くんたち……きっと焦ってるんだろうな
でもナオと修司、それと悠がみんなを落ち着かせてまとめて
それで……みんなが下から降りてくる
「何しにきた。」
ほら、こんな後ろにいてもあの人の声が聞こえる
凜とした声
あの声で何回名前を呼ばれただろう
呼ばれるたびに愛おしいと思った
胸が苦しくなった
「何お前殺気立ってんの?」
「そんなのてめぇに関係ねぇことだろうが。」
「……お前らが俺たちの宿敵とは笑っちまう。」
「あ"あ?」
「お前らはそこまで堕ちたっつーことだよ。
大切なやつの気持ちも理解出来ねーほどな。
なぁ、そうだよな?」
遂にこの時が来た
みんなどんな顔するかな……
やっぱり怒るよね
私を裏切り者として恨むよね
でも、それでいい
それが私が選んだ道だから
間を縫うように前に歩いていく
進みたくないと足が竦むけど、それでも奮い立たせて歩き続ける
そして私は拓斗の隣に、あの人の目の前に立った