「でもね、私は蝶でもBlue skyの蝶じゃない。
語り継がれていくうちにごちゃごちゃになってしまったみたいだけど……蝶は2人いるの。
私はREDMOONに語り継がれた蝶。
Blue skyに語り継がれた蝶は別の人だよ。」
「あなたが蝶だっていう証拠はどこにあるんですか?」
あいにく私が持っている証拠は1つしかない
私が目を閉じて次に開いた時には、驚く顔が並んでいた
「これしか証拠はないけど……。
私の瞳は赤。
REDMOONを象徴する赤の色。」
私とREDMOONが出会うのは運命だった
だから麓絽は反対した
だから殺は最後まで私たちを見て悩んだ
それを私は知らずに、幸せという言葉で着飾っていただけだ
「これで手伝ってくれる気になってくれた?」
「あぁ。もう既に聞いちまったしな。
でも、本当にいいのか?」
「私、すごく幸せだったの。
つい最近まで自分が蝶だったことは忘れていたけど、例えそれが運命だったとしても、REDMOONに出会えたことが私の人生を変えてくれた。
たくさんの思い出をくれた。
忘れられない時間をくれた。
それだけでもう充分過ぎる。
私たち蝶は、決して万能じゃない。
それがもたらす現実も知ってる。
だからこそ、REDMOONを守れるなら私はみんなの記憶から消えたっていい。」
これはもう誰に言われても変わらない
私は初めて自分の意思で伝説に抗ってみせる
「信じてるからこその裏切り、か。
よし、のった。
そういうの好きだぜ、俺は。」
拓斗はニヤリと笑ってそういった
他の幹部も呆れたようにしながらも断る気はないようで
ほら、やっぱりどっちのチームも似たもの同士だ
「ありがとう。」
それから私たちは簡単な打ち合わせをした
必要最低限Blue skyに迷惑がかからないように
日にちは明日
明日で私はREDMOONの姫じゃなくなる
みんなとの繋がりが絶たれる
それでも、もう戻れないところまで来てしまった
こうして私は、最後の盛大な嘘をつくための仲間を得た