「1ついいですか?」
手を挙げて発言したのは眼鏡をかけた幹部の人だった
「あなたは私たちを利用しようとしている、という解釈でいいんですよね?」
「……そう。
私は私の目的のためにBlue skyを利用しようとしてる。
その事実には変わらない。」
「それを分かっていて、そして私たちが断るだろうと予想していて、それでもなおここに来たのはどうしてですか?
きっと何か確信があったからでしょう?」
「始めからタダで引き受けてくれるとは思ってなかった。
だから拓斗、取引をしてくれない?」
黙っていた拓斗の顔つきが変わった
「どういう意味だ?」
「私の手伝いをしている代わりに、あなたたちが一番欲しがっているものの情報を教えてあげる。」
「欲しがっているもの?
俺たちが今何が欲しいか、そんなのクロに分かんのかよ?」
「分かるよ。だってそれは必然だから。
ずっとあなた"たち"は求め続けてた。
前の代も、そのまた前の代も。」
始めからそういう風に出来ていた
REDMOONとBlue skyは作られた時から仲が悪かったのかと考えた時があった
だけどその答えはたった一つ
2つのチームは元々そういう風に出来ていた
あるものを求め、それを奪い合う
REDMOONとBlue skyは、設けられたゲーム版の上で対立するプレーヤーなのだから
伝説に巻き込まれた、ただの通行人Aたち
「あなたたちが欲しがっているのは……『蝶』でしょ?」
その言葉に、今度こそ拓斗の顔が歪んだ
いや、拓斗だけじゃなくその場にいた全員が
驚き、困惑、疑念
きっと全員の頭にそんな感じのが浮かんでいるはず
「なんでお前がそれを知ってる。」
「そうだね。
強いて言うなら……あなたたちがゲームのプレーヤーで、私たちはそれの賞品。」
「それってまさか……」
最初に意味に気づいたのは昴くんだった
そして他の人も察した
「まさかクロが……蝶、なのか……?」
拓斗もそんな顔出来るんだね
信じることに自信を持っていた拓斗が信じられないといったような顔をした
私はただ困ったように笑った