だいぶ進んだところで、前を歩く颯見くんが立ち止まって、くるりと体を私に向けた。



ザザーン、とさっきより強く波が砂浜を打ち付ける。



周りに人がいなくなったせいで、まるで二人だけの世界になったような、そんな錯覚に陥る。



なんだか、すごく、緊張する。









「俺、哀咲が好きだよ」











暗闇に静かに響いた颯見くんの声が、鼓膜を揺さぶった。






胸の奥の方でドクドクと鼓動が音を立てている。




勘違い、じゃない。



今、しっかり聞こえた。



颯見くんが、私のことを好きって言った。