違う。

今すごい誤解が生まれている。



鈴葉ちゃんまでならず、クラスの女子みんなにまで同じような誤解をされている。



慌てて思い切り首を振ると、「照れてんのー?」と言葉が返ってきた。



真内くんとは付き合ってない。


そんな誤解されてしまったら、また真内くんに迷惑をかけてしまう。



それに、私は颯見くんが好きだから。

颯見くんをフってなんかない。



一生懸命首を振るけど、誤解は解けないまま。



違う。違うのに。





「雫首振ってんじゃん。違うっての」



倖子ちゃんが痺れを切らしたように、はぁ、と息を吐いて言った。



「えーじゃあなんで、真内くんとカラオケ一緒に来てたの?」



佐藤さんが、キョトンとした顔で言った。



「それは……知らないけど」



倖子ちゃんが口ごもる。



そうだよね、倖子ちゃんは知らない。


知らないのに、助けてくれた。



私は、また自分で何も言わないまま、倖子ちゃんに助けてもらおうとしている。



それじゃあダメだ。


ちゃんと、自分の口で、言わなきゃ。