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目が覚めると、外は明るかった。



眠れないと思ったけれど、いつの間にか眠っていたらしい。

枕元の置時計に目をやると、ちょうど五時。いつもより少し早い。



でも、今からもう一度寝る気にもなれず、ベッドを降りて洗面所へ向かった。



今日は、少し早めに学校へ行こうかな。

学校行って、朝のホームルームが始まるまで、勉強しておこう。



髪を梳きながら、そう決めて、櫛を置いた。



部屋に戻って、制服に着替える。


膝より少し下まである、学校の基準にぴったりはまったスカートを履いて、カッターシャツを一番上のボタンまでしっかりとめる。

腰まである髪を、いつも通り三つ編みでおさげに編んだ。



1階に降りると、お母さんが「早いわねぇ」と言いながら、朝ごはんを出してくれた。



「今日は早く目が覚めちゃったから、早めに学校行って勉強してくるね」



テーブルの前の椅子に座りながら、そう言うと、お母さんは「まぁ、そうなの」と笑った。



食パンに、目玉焼きに、お味噌汁という、和と洋が入り混じった、我が家のいつもの朝ごはん。

それを口に入れながら、ふと、昨日の彼のことを思い出した。



学校に早く行ったら、もしかしたら、あの彼に出会うかもしれない。



そんな期待を抱くと、少し緊張が走る。



ご飯を食べ終わり、用意をして、玄関を出た。



少し空気が涼しい。

道行く人は、いつもより少なくて、なんだか道が寂しげに見える。


朝の時間が一時間早いだけで、見慣れた道の雰囲気が、こんなにも変わるんだ。



こんな朝も好きだなぁ、なんて思いながら、住宅街を抜けて、大きな歩道まで出ると、ジャージを来た学生がたくさん歩いていた。


部活の朝練に向かう人たちだ。

ちょうどこの時間に、朝練の人は登校してたんだ。



なら、もしかしたら、今日の朝も鈴葉ちゃんに会えるかもしれない。

もし会ったら、昨日の彼のこと、話してみようかな。

鈴葉ちゃんと同じように、そのままの私を受け入れてくれる人がいた、って。



胸の中でうごめくものを感じながら、いつもより軽やかな足を進ませた。



校門へと続く、坂まで来た。



自転車を押しながら上る女子が、私の横を通り過ぎるたびに、鈴葉ちゃんじゃないかと顔を上げながら、坂を上る。


何度もその期待を裏切られながら、校門にたどり着いた。

ちょうどその時。