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長い長いエレベーターを終えて、夢乃くんの住んでいる部屋はなんとマンションの最上階だった。

まず驚いたのが大理石の玄関。そしてまるで料亭のような大きな水槽を通り過ぎて、見えてきたのが一面ガラス張りのリビング。

私は夢でも見てるのだろうか。

こんなお家なんてテレビの中でしか見たことはない。


「適当に座ってて。紅茶でいい?」

「え、は、はい……」


あのあとロビーまで一緒に入って、女の子たちが諦めたのを確認してから私も帰ろうと思ったのに、夢乃くんがお茶でもと言うからここまで来てしまったけど……。


とりあえず大きなL字型のソファーに座るとお尻が勢いよく沈んで私の身体がL字のようになってなってしまったことは夢乃くんには見られてないようだ。


リビングには60インチのテレビが壁に取り付けてあって、テーブルも棚も装飾品もすべて高級品。


……ここ本当に夢乃くんのお家なの?

借りてきた猫のようにキョロキョロとしていると、夢乃くんが紅茶を持って戻ってきた。

しかもこれまた高そうなティーセット!


「落ち着かないでしょ?」

夢乃くんが私の気持ちを代弁するように言う。


「全部母さんの趣味なんだよね」

そう言って同じ紅茶を飲んだ。私もせっかくだからと震える手で紅茶を飲むとなんだかオシャレな味。

すごく美味しかったけど、ティーカップを割ったらどうしようと頭はそればかりで、すぐに安全なテーブルへと戻した。