病気?災害?事件?事故?
色々と憶測をしながら急いで駅前に行くと夢乃くんは時計台の下にいた。
「あれ、早かったね」
「ハア……ハアッ……。夢乃くんどうしたんですか?」
全力疾走した私の息は上がっていた。
最悪な事態を想像していたのに夢乃くんはすごく元気そうで外傷もない。それどころか学校で会ったときのままの姿でピンピンしてる。
「もしかして走ってきたの?」
そして何故か夢乃くんはビックリした顔をしていた。
「だ、だって緊急事態だって……」
「う、うん。それはそうなんだけど」
どうやら夢乃くんの緊急事態と私の考えていた緊急事態の危険度には大幅なズレがあったらしい。
そうか、べつに事件でも事故でもなかったのか。
一気に力の抜けた私は後ろに仰け反ってしまい、夢乃くんがすぐに私の腰を掴む。
ふわりと夢乃くんの匂い。
リアルな男の子はゲームと違って汗くさい感じのイメージをしてたんだけど、夢乃くんからは頭がクラクラするほどのいい香りがした。