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それから数日が経って私と夢乃くんの関係は変わらないけど、夢乃くんと彩芽ちゃんの関係は続いてるようで頻繁にスマホを見る回数が増えた。

私といる時でもメッセージが届けばすぐに返信して、話が中断してしまうこともしばしば。


彩芽ちゃんとどんな話をしてるの?
彩芽ちゃんとなにがあったの?

なんて、私に聞く資格はない。


思えばこの付き合ってるフリだって、元々は乙ゲーしているところを夢乃くんに見つかって。それで女の子たちの加熱っぷりに困っていた夢乃くんが私を偽物の彼女にすることで回避しようとした。

結局、私が彼女になったところで夢乃くんのファンが減ったわけじゃないし、乙ゲーのことだって夢乃くんは言いふらす人じゃない。

じゃあ、なんで私たちは付き合ってるのかな。

私は必要ないんじゃないの?

彼女というポジションならもっとピッタリの人が……。


「「あ……」」

その日の放課後。ノートを買いに駅の近くに行くと文房具店でばったりと彩芽ちゃんに会った。