その帰り道。私の歩幅なんて無視して歩く音弥くんに付いていく元気はない。

それどころかずっとあのふたりのことを考えていて、私と夢乃くんの関係なんて所詮は偽物だし、彩芽ちゃんとの付き合いも長いだろうから私よりも彩芽ちゃんを優先するのは当たり前。


自惚れてたわけじゃないし、舞い上がってたわけじゃない。

ちゃんと身の程をわきまえているし、調子にだって乗ってない。

それなのに夢乃くんが彩芽ちゃんと帰るって決まったとき〝イヤだ〟って思っちゃった……。

私っていつからこんなに欲張りになったのかな。


「お前らって本当は付き合ってないだろ」

気づくと先を歩いていた音弥くんが立ち止まっていて、いつの間にか私が音弥くんに追いついていた。

思わず「え……」と口ごもってしまい、これで認めてしまったようなものだ。


「だいたい夢乃がお前みたいな女を選ぶわけねーし、アイツが好きなタイプと全然違うしな」

……夢乃くんのタイプ。多分それは……。


「彩芽ちゃんと夢乃くんって付き合ってたんですか?」