「なぁ、今日さー、暇?」
「んー、今日って何日だっけ。」
俺、東雲深也は帰りの準備をしながら唯一の親友橋本陽介に応える。
親友の陽介は中学で知り合った友達でチャラいというのが第一印象だった。
「今日はー…7日だ。」
携帯の画面に映る日付を見ながら応える。
「7日かー…ごめん陽介、パス。」
「えー!!なんでさー!今日は大事な話をしようと思ったのに!!」
頬をぷくっと膨らませこちらを睨んでくる。
「大事な話って…。どうせ彼女にフラれたとかだろ…?」
ため息混じりに応え、荷物の詰め終わった鞄を背負う。
「げっ…何でわかったんだよ。」
バツの悪い顔で挙動不審になる陽介。
「いや、だって大体お前の大事な話って彼女関係じゃん。」
「うっ、そうだけどさー!」
何か言いたげな陽介を差し置いて時計を見る。
時刻は午後6時。
「あ、もう行かなきゃ、じゃあな陽介。もう高3なんだから少しは落ち着けよー。」
「あ、ちょっ!」
陽介の声を無視し、駆け足である場所へ向かう。


数分走ると緑色の屋根が見える。
そこは小さなカフェで珈琲が売りだ。
ドアに立てつけられたベルを鳴らし店内に足を踏み入れる。
すると直ぐに珈琲の匂いがする。
と、辺りを見渡しいつもの特等席に目を向ける。
(あ、いた。)
ここの珈琲は美味い。
それもあるが、特定の日にいつも通うのは彼女が居るからだ。