昨日までの寒さは嘘のように暖かい。
緑の蕾は開きピンク色の綺麗な花を咲かせていた。
(桜だ…。綺麗だな。)
風が吹きひらひらと落ちる花びらを目でおっていると一人の少女が桜の木を見上げていることに気づいた。
髪は肩までで細かく手入れをしているのか艶がかかっていた。
よくよく見ているとある事に気づいた。
(あれ…泣いてる…?)
その少女は泣いているのか目は赤く腫れ、頬が濡れていた。
じっと見すぎたせいか少女はこちらに気づき早足で逃げ去ってしまった。
「あっ…。」
(行っちゃった…。)
そしてなぜか自分の胸の鼓動が加速していることに気づいた。
もしかして…。

あの子に一目惚れ…?