「今井さんは、こっちの部署に移動して来てから変わっちゃって。周りの人と自分を比べすぎたのね。それで私も心配になってよく話しかけたりしていたの。でも彼の焦りとか不安を私が取り除くことはできなかった。今井さんが昨日初めて仕事を休んで、今日出勤してきた今井さんの顔、すごく清々しくて、何かあったんだなってすぐにわかった。双葉ちゃんがパパを元のパパに変えたんだよね」


「……っ、」


里菜さんは、パパの表面だけを見ていない。
ちゃんと、パパの中身を知った上で、シングルファザーで娘のために仕事を頑張ってる人だって、わかってくれてる人だ。


「今井さんとの恋愛や結婚は、双葉ちゃんあってのことだと思ってる。だから双葉ちゃんをもっと知りたいし、双葉ちゃんにも私を知ってほしい。だから、私と友達になってくれるかな?」


「…っ、友達」


「学校の同級生にも言えない話とか、もちろん恋の相談だって、って言っても私も話せるほどの経験はないんだけど…それでも!私はちゃんと双葉ちゃんと話をしたい!今まで、パパがどっかに行っちゃうんじゃないかって、きっと怖かったよね…」


ずっと手を握って離さない里菜さんの言葉に、目頭が熱くなる。