彼女は、机の上に散らかっている物をどけ、パンや果物などが入ったバスケットを、その上に乗っけた。


そして、僕のいるベッドの隣にあるイスに腰掛けた。


僕の体の上でくつろいでいた、ロンと呼ばれるネコは、彼女の膝へと飛び移った。



「さて、あなたはどこから来たのかしら?」と彼女は言った。


どこから来た?

…僕は一体、どこから来たんだ?



「僕は何でここにいるんだ?」と僕は彼女に訊いた。


「私が、丘の上の教会の花畑で倒れていたあなたを、見つけたの」と彼女はロンの頭を撫でながら、答えた。


「一体何があったの?」


………


「覚えてない」と僕は正直に言った。



「…きっと頭を強く打って、記憶が飛んでしまったのね。…あなたが着ていたスーツは血がついてたから、洗ったわ」