「ここで働くのか?」



「うん」



「おめーみたいなガキを、雇うとはなあ…」



ムンゴの唇は、ケチャップで赤い。



「まあ、料理長は俺より若いが、人をもてなしたり、どういう人間かを見極める能力に長けてる。きっと、一目で気に入られたんだろうよ」



「ジャロもそうなの?」と僕は訊いた。



「あいつはまた別格だ。…まあ、料理長の娘というのもあるが…、あの明るい性格から、客達にとても人気がある」とムンゴが言った。



「母親がここで働いてたころに、よく似てるな」



「…ジャロのお母さん?」



「お待たせ、朝ご飯を持ってきたわ。あっ、おはようございます、副料理長」



ジャロはいつの間にか、僕の後ろに立っていた。