ゆらり。
紫煙を燻らせながら、私は視界の中に当たり前のように映り込んでいる彼の整った姿に、思わず苦笑してしまった。
「ねぇ?それ、私の好みの反映なわけ?」
「んー?あー…これ?那奈、今日はこんな気分かと思って」
職場という雰囲気の中からか、彼の服装はいつもスーツでカチリと決まっているのに。
今日はどうしたことか…多分私が疲れているからなんだろう…彼の姿は珍しくシックなボルドーカラーのシャツを着崩して、私の前に長い足を組んで座っている。
ムカつくほど、好みなんだよね、こいつは。
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