「入りましょうか。ご準備はよろしいですか?」

「うん。いつでもどーぞっ」

私が言うと、えりかは頷いてドアをノックした。中から「誰だ」というハスキーボイスが聞こえる。佐藤家当主、佐藤雅人か。

「お父様、私ですわ。お客様をお連れしましたの。入ってもよろしいですか?」

「ああ、いいぞ」

取っ手を下に下げて、重々しい扉を開く。部屋の中が露わになった。

全体は白で統一され、高級感あふれる家具。いかにも"当主"って感じがする。