「いい匂い・・・すみれ?」

「そ、そうかしら?いつも乗る時に少し感じるくらいですわよ?そこまで匂うのですわね・・・」

深刻そうな顔をするえりか。なんでそんな顔を?

「それでは、この後匂いを消していただきますよう、お願い致しますのでご安心を」

あ、そっち?別に嫌な匂いとかじゃないのに!

「そ、そうじゃなくて!とってもいい匂いだなぁって。嫌な匂いとかじゃないから」

私の言葉に安堵の表情を見せるえりか。運転手さん(←今気づいた)が、「出発いたしますよ」と声をかけたことを機にえりかは乗り込んだ。