「す、すごい・・・」

感嘆の声を漏らす。こんなにも高級な車、見ないでしょ。

「ふふっ。さあ、乗ってくださいませ。遠慮は要りませんわ」

えりかは後部座席のドアにある人差し指程の窪みにタッチ。それだけで、ドアは微かな音をたてて開く。魔法界の車は人間界よりも進化してるんだからねっ。

「あ、ありがと」

慣れてない雰囲気を出しつつ、ぎこちなく乗り込んだ。ふわっと香る、すみれの匂い。確か、えりかからも匂ったっけ。