しばらくしてから楠見が立ち上がった。


殴られた跡がクッキリと残る。



「ほっぺたにこんな傷…」



澪和は慌ててカバンから絆創膏を取り出した。

それを見た楠見は、



「いらないから、そーゆーの」



澪和を制止しようとする。

だが怪我人をほっとくような女ではないのでーーー



「じっとしててください」


「……」



目をつむる楠見。

澪和はそっと楠見の左頬に絆創膏を貼った。



「よしっ、しばらく腫れは引きませんよね…」



心配そうに見つめる澪和。