続けて御影は言う。



「第一、俺のこの喋り方は父上が教え込み、染み付いてしまったものだ」


「いやなんですか?」


「あぁ、嫌だな」



澪和の質問にキッパリと答える。



「昔は姉上などと呼んだ事などない!」



クシャッと髪の毛を掴み、苦しそうな表情を浮かべる。

澪和は心が痛くなった。



「…俺はもう疲れたんだ。この生活に。自分を偽り続けねばならない、つまらない生活に」



そう言うと御影は固くキッチリと結んであったネクタイを解き、澪和と向き合った。