武田流星…


葛西くんと同じ陸上部で学年1、2位を争うほどモテるという私には恐れ多い存在。


昼休み、確かに武田君も走ってる。


そ、それで勘違い…されたのかな?


「……っ」


違うって言いたいのに、言えない。


言ったらきっと、葛西くんの事を見てることがバレてしまうから。


そんなこと知られたら上から見てる意味が無い。


気持ち悪いと、引かれるかもしれない。


「…やっぱり、そうなんだな。」


…え?



「あ、その…」


「帰る。」


私の言葉を最後まで聞かず、葛西くんはバックを持って帰ってしまった。


…なんか、すごい誤解をされちゃったような。


_コロン。


机から1本のシャーペンが転げ落ちた。


葛西くん…のだ。


とりあえず拾ったけど、もう葛西くんはいない。