不思議と私たち二人以外に人もいないし。


…って、私何考えてるんだ?!


違う違う。これは、あれだ。


昨日何か勘違いされたんだ。


そうだそうだ!と、自分に言い聞かせ目の前にあった小説を適当にとって席に戻った。


「…高瀬、だっけ?」


参考書から私に目を移した葛西くんが呟いた


「はい…」


「昼休み、いつも見てる…よな?」


「…へ?」


あまりにも衝撃的な発言に間抜けな声が出てしまう。


「好きなのか?…武田の事」


「武田…?」


またもや意味不明発言。


馬鹿な私は理解が追いつかない。


「…武田流星。俺と同じ、陸上部の」


あー…


名前を聞いてうっすらと思い出した。