このライブが終えたら拡は沢山の人に惜しまれながら会場を去り、輝かしい未来へと歩いていく。
そして、まるで何もなかったかのように幸せそうに歌う拡を画面越しでしか見られなくなってしまう。
残るのは過去の思い出だけ。
一番近くにいた人とは、もう会うことも、傍で感じることもできない。
あの日、さようならと言って涙した拡を抱きしめていたら何かが変わっていたのかな。
泣いて叫んででも引き止めていたら拡は今頃あたしの隣であたしだけの為に歌っていたのかな。
後悔ばかりが先にきて、夢を叶えた拡におめでとうって思えない自分に腹がたつ。
あの場所に立つ事を拡がどれだけ夢見てきたか一番に知っているのはあたしのはずなのに。