本当に手の届かない場所へ行ってしまったのだと、その光景を見ると改めて実感させられる。



この日を乗り切る覚悟はできていたはずなのに堪えていた涙が溢れだす。



あまりにも目の前にある光景が眩しくて、拡が遠すぎて、席に着くなり子供のように泣きじゃくった。




それから数十分後。




いつのまにかライブは中盤へと差し掛かり、リーダーである鈴木優斗がトークを始める。



くさい台詞を言っては甘い笑顔を向け、ファンを喜ばせる姿は感心ものだ。



大きなスクリーンに映し出される姿は美しいとゆう言葉が一番しっくりくる。



「まさか俺達がこの場所で、こんな沢山のファンに囲まれて歌える日がくるとは思ってなかった。なぁ? 拡」



メンバーに順番に話をふっていく中で、優斗の口から拡とゆう言葉が出ただけで会場は甲高い奇声に包まれる。