「たぁーのもぉー!」


「げっ」


彼との出会いの翌日の放課後。


私はナルちゃんからの情報を元に、隣のクラスに足を踏み入れていた。


大声を上げた私を不思議そうに見つめる人たちをキョロキョロと見渡せば、目当ての彼が嫌そうに顔をしかめている姿が視界に映る。


「あ、いた!チョコくん!」


私が手を振ると、疑問を浮かべた人たちが辺りを見回し始めた。


「え、誰のこと?」


「なに?チョコくん?」


「そんなやついた?」


「おーい!チョコくーん!」


「…くそっ」


目当ての彼は頭を抱えたかと思うと、席を立ってみんなに気づかれないように廊下に出た。