「あ、あのっ!私、あのお店のファンなの!」


「ファン?」


「そう!お姉ちゃんが買ってきてくれた時に初めて食べたんだけど、すっごく美味しくて!また食べたいと思ってるんだー」


「……...はぁ」


「?どうしたの?」


私を見て深くため息をついた彼を不思議に思って見上げれば、彼はさらに深く息をつく。


「俺は、あの店とは関係ない」


「え…?」


「あの店は親がやってるだけで、俺は食べたいとも思わないから」


「ど、どうしてっ?あのお店のチョコ、すごく美味しいじゃん」


「…...チョコなんて、美味くないんだよ」


「…?あ、ちょっと!」


彼は意味深な言葉だけを残すと、私の制止も聞かずに教室から出て行ってしまった。