「すっごい美人で可愛いんだよぉ!私の好きな物買ってくれるし、自慢のお姉ちゃんなの!」


「ふーん」


「それで、昨日うちで彼氏さんと初めて会ったんだけど、2人ともすっごく幸せそうでー。見てて羨ましくなっちゃった」


「へぇ」


「……ねぇ、ちゃんと聞いてる?」


「聞いてる聞いてる」


生返事でしか返さない彼を不満に思えば、適当にあしらうような言葉が重なってくる。


「…あ、そうだ。あとね!お姉ちゃんが彼氏さんに告白する時にエテルニテのチョコを渡したんだって!」


「うちの?」


食いついた!


顔を上げて聞き返してくる彼に、私はここぞとばかりに情報を繋げていく。


「そう!彼氏さんが甘いものが大好きで、2人で初めて出かけた特別な日のプレゼントってことらしいよ!
いいよねぇ〜」


「ふーん……」


「私もチョコを渡されて告白、とかそんな青春ほしいー」


「お前は青春より食い気だろ」


「あははっ、さすがチョコくん!わかってるね!」


「……友達だからな」


「!チョコくん……」


初めて友達って言ってくれた!
でもちょっと複雑な感じ……今はそれじゃ足りなくなってる。


「うん!私たち、いい友達だね!」


「自分で言うな。恥ずかしい」


「恥ずかしくなんてないもーん」


……この気持ちはまだ、閉まっておこう。


笑顔を見せる彼を愛おしく思いながらも、私は心の中でそう言い聞かせた。