「チョコくん……顔、真っ赤」
「うるさい……お前も同じだろ」
距離は離れたはずなのに、上がった体温は一向に冷めてくれる気配がない。
「っ、これは…夕日のせいだし!」
「苦しい言い訳すんなよ」
「言い訳じゃないしっ!」
「……じゃあ俺も夕日のせいだから」
「なっ!取らないでよ、私の言い訳!」
「認めてんじゃん」
「あ……」
「「…………ふ」」
せきを切ったように、一瞬だけ静まったはずの空間に笑い声が響き渡る。
「もー、笑わせないでよ」
「原因はお前だろ」
「チョコくんですぅー」
あーあ、笑ったらドキドキがどっかいっちゃった。
でもチョコくんと普通に話せてる……よかった。
「なぁ、」
「うん?」
「明日は、来るよな…?」
「……うん、もちろん!」
「そうか」
「っ…、」
反則だ。私の言葉で、そんなに笑顔になるなんて。
最初に出会った時から凄くイケメンな人だと思ってたけど、そんなにカッコよくなっちゃったらもっとモテちゃうんだろうな。
「チョコくん、今日も帰ったらチョコ作るの?」
「当たり前。最高のチョコ作ってやるから待ってろ」
「…!えへへ、うん!」
彼のその言葉だけで、私は少しの不安を振り払って顔を綻ばせた。