彼の笑い声、笑顔に、無意識に頬が熱を帯びる。
まるでお化けでも見たかのように、怖くもないのに心臓が早鐘を打つ。


「なぁ、」


「っ、うん?」


ドキドキと音を立てる胸に手を当てていれば、彼が不意に私を呼びかけた。


「……お前すごいな。俺には、過去をあんな風に受け止められなかった」


「え…?」


「お前のそーゆーとこ……まぁ、いいと思う……」


「え!?そ、それなら私だって、チョコ作りに真剣なチョコくんすごいと思うし…っ!」


ごにょごにょと顔を赤らめながら濁すように言った彼に、私はいつかのお姉ちゃんの言葉を思い出していた。


『お互いに尊重できる、そんな存在の中で1番大切な人がわかったら……それは『運命の人』って言うのかもね』


「そっか……こーゆーことなんだ……」


「え?」


急に訳のわからないことを言い始めた私に、目の前の彼は不思議そうな視線を向けてくる。


いつか夢見ていた、素敵な王子様との出会い。


「あははっ……無愛想!」


「はっ?何、急に。失礼なやつだな」


「ふふ、ごめんごめん!」


うん、こんな王子様も悪くないよね。