「やあっほぉー」


「マヌケな声を出すな、アホ」


「む、アホじゃないもん」


もう習慣になっているお昼の訪問をすると、諦めたような声が返ってきた。


「大声出すなってチョコくんが言うから小声にしたのに」


「もう言い返す気力もない」


「……ねぇ、何かいいことでもあった?」


「は?」


「なんか吹っ切れたような顔してる」


最初に見せていたあの表情とは違う。
相変わらず無愛想だけど、どこか晴れ晴れとしたような、穏やかな表情に見えた。


「……父さんと和解した」


「えっ!ほんと!?」


「あぁ」


「よかったね、チョコくん!」


「っ……」


「?顔赤いけど、大丈夫?もしかして風邪!?」


「っ、違うから、大丈夫」


「そう?…でも本当によかったねぇ」


「……ありがとな」


「えっ?」


ボソッと聞こえたらしくない言葉に、私は思わずポカンと口を開く。


「あの時のお前の言葉があったから、自分の気持ちに気づくことができた……ありがとう」


「っ、」