「は……?」
ポカンと理解のできていない様子でこっちを見てくる彼に、私はさらに感情のままに続ける。
「バカだよ、チョコくん。だってそいつら、チョコくんが女子にモテてることを妬んでるだけじゃない」
「え……?」
「勉強も運動もできて、さらに家がチョコレート専門店で女子からの人気は急上昇。そんなの、妬みの対象でしかないでしょ」
「そうか…?」
「まぁ本人はわからないのかもしれないけど。そんなやつらの言葉を素直に受け入れて自分を変えちゃうなんて、私の知ってるチョコくんじゃないよ」
「いや、お前が俺の何を知ってるんだよ…」
いつものように鋭くはないものの、しっかりとツッコんだ彼は調子を戻してきているのだろうか。
「チョコくん、言ったよね。かっこ悪くなりたくないから、家のことは知られたくないって」
「あ、あぁ……」
「でも私からしたら、そう思って家のことを切り離そうとしてる今のチョコくんの方が、かっこ悪く見えるよ」
「!!」
「だってそうでしょ?少し陰口叩かれたくらいで自分の1番大好きなことやめちゃって。
だいたい陰でコソコソ妬むやつなんて、本当の友達じゃないし!
……それに、人を笑顔にできるお父さんの仕事をかっこ悪いだなんて思って、勝手に遠ざけてるチョコくんの方が数百倍かっこ悪いに決まってる」
「っ……」